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発電機の種類・選び方

非常用発電機の容量計算はどうやる?kWとkVAの違いと始動負荷

最終更新:2026年9月12日

非常用発電機の容量計算はどうやる?kWとkVAの違いと始動負荷発電機の種類・選び方非常用発電機の容量計算はどうやる?kWとkVAの違いと始動負荷

非常用発電機の容量計算は、停電時に給電する負荷を積み上げ、電動機の始動に耐えられる出力を選ぶ作業です。定常時に必要な電力だけで決めると、始動の瞬間に電圧が下がって機器が立ち上がりません。

業界の標準的な考え方は、日本内燃力発電設備協会の規格NEGA C 201「自家発電設備の出力算定法」にまとめられています。この記事では、施設管理者が設計者や工事会社と話すために必要な範囲で、単位の違い、積み上げの手順、始動負荷の扱い、依頼時に用意する資料を整理しました。自分で計算式を解く必要はありませんが、提案された容量の根拠を確認できるようになります。

目次
  1. 容量計算はkVAで考える
  2. 容量計算の基準はNEGA C 201
    1. 算定の前提を記録に残す
  3. 容量計算で効く始動負荷と電圧降下
  4. 非常用と保安用で容量計算が変わる
  5. 容量計算を設計者へ依頼する資料
  6. 非常用発電機の容量計算のFAQ

容量計算はkVAで考える

発電機の出力はkVA(皮相電力)、負荷の消費はkW(有効電力)で表されることが多く、この2つは力率を介してつながります。単位を混ぜたまま合計すると、必要な容量を小さく見積もることになります。

容量計算はkVAで考える
単位表すもの比較時の注意
kVA発電機が供給できる皮相電力発電機の定格として示されることが多い
kW負荷が消費する有効電力機器の銘板やカタログの表記
力率有効電力と皮相電力の比機器ごとに異なる。設計者が条件を設定する

力率とは、皮相電力のうち実際に仕事をする有効電力が占める割合です。負荷の種類によって値が違うため、設計者が機器ごとの条件を設定して算定します。

候補機種を並べるときは、出力の単位、定格の条件、電圧、周波数、相数をそろえた表にしてください。資料によって記載が違う場合は、どちらの単位で書かれているかを先に確認します。

容量計算の基準はNEGA C 201

日本内燃力発電設備協会の規格NEGA C 201「自家発電設備の出力算定法」が、発電機出力係数RGと原動機出力係数REを用いた算定の方法を示しています。負荷の投入方法として、最大最終負荷投入方式と逐次負荷投入方式が使い分けられます。

計算には一般式と、計画の初期段階で使う簡易式があります。施設管理者が自分で計算する必要はありませんが、見積書や設計図書にどの方式で算定したかが書かれているかは確認できます。方式が違えば必要な出力も変わるためです。

算定の前提を記録に残す

算定に使った負荷一覧、投入の順序、力率の設定は、将来の増設や更新で再利用します。設計図書と一緒に保管し、担当者が交代しても前提をたどれるようにしてください。

容量計算で効く始動負荷と電圧降下

電動機は始動の瞬間に定常時の数倍の電流が流れます。この間に発電機の電圧が下がりすぎると、ほかの機器が停止したり、始動そのものが完了しなかったりします。容量計算ではこの許容電圧降下を条件に入れます。

  • 停電時に給電する電動機の容量と台数を洗い出す。
  • 同時に始動するか、順番に投入するかを決める。
  • 投入の順序を制御盤でどう実現するかを設計者に確認する。
  • 許容できる電圧降下の値を、接続する機器の仕様から決める。

計画の初期段階では、負荷の合計から容量の目安を置き、設計が進むにつれて容量選定を詰めていきます。初期の目安をそのまま発注の根拠にすると、始動条件を織り込めていない場合があります。

投入を分ければ必要な出力を抑えられる一方、すべての負荷が立ち上がるまでの時間は延びます。消防用設備等の非常電源として使う場合は、要求される時間の中で立ち上がるかを併せて確認してください。

非常用と保安用で容量計算が変わる

積み上げる負荷が違います。消防用設備等の非常電源として必要な負荷と、業務を継続するために守りたい負荷は別物で、両方を1台で担うなら合計した条件で算定します。

非常用と保安用で容量計算が変わる
目的積み上げる負荷の例決めておくこと
消防用設備等の非常電源消火栓ポンプ、排煙設備、非常照明など設備ごとに必要な運転時間
建築設備の予備電源非常用照明、非常用エレベーターなど建築基準法で求められる範囲
業務の継続サーバー、生産設備、冷蔵設備など止められない時間と優先順位

どこまでを対象にするかで、機器の価格も設置スペースも変わります。予算の制約がある場合は、優先順位の低い負荷を外した案も並べて比較すると判断しやすくなります。

容量計算を設計者へ依頼する資料

必要な資料がそろっていれば、見積もりの前提がずれにくくなります。複数社へ相談する場合は、同じ資料を同じ形で渡してください。

  • 停電時に給電する負荷の一覧(機器名、容量、電圧、力率、始動条件)。
  • 単線結線図と、切り替える箇所が分かる図面。
  • 必要な運転時間と、燃料の補給方法。
  • 設置予定場所の寸法、搬入経路、給排気の条件。

設置の要件は設置基準の記事、燃料の貯蔵量は燃料の記事で確認できます。方式の違いで検討が変わる場合はガスタービンとディーゼルの比較もご覧ください。

工事まで相談する窓口は設置・更新会社の比較、機種の候補はメーカー10社の比較表から探せます。

参照:日本内燃力発電設備協会・NEGA C 201 自家発電設備の出力算定法/総務省消防庁・自家発電設備の基準(昭和48年消防庁告示第1号)(2026年9月12日確認)

非常用発電機の容量計算のFAQ

kWとkVAはどちらで比べればよいですか?

発電機の定格はkVA、負荷の消費はkWで示されることが多く、力率を介して換算します。比較表を作るときは単位と定格条件をそろえ、資料ごとの表記の違いを確認してください。

定常時の消費電力を合計すれば足りますか?

足りません。電動機は始動時に大きな電流が流れるため、許容できる電圧降下を条件に入れて算定します。投入の順序を分けることで必要な出力を抑えられる場合があります。

容量計算は誰に依頼すればよいですか?

設計者または発電設備の施工会社が行います。負荷一覧、単線結線図、必要な運転時間、設置場所の条件を渡すと、算定の前提をそろえた見積もりを受け取れます。

この記事を書いた人

執筆・編集:非常用発電機ナビ 編集部

非常用発電機の導入・更新・メンテナンスを検討する施設管理者のための比較ガイドです。会社情報は各社公式サイト、制度の説明は行政の公表資料を参照し、対応範囲と依頼前の確認事項を整理しています。

最終更新:2026年9月12日